ありがとうございます。 | アイアンシェフありがとうございます

  アイアンシェフありがとうございます。  
 
 アイアンシェフ出演の依頼が来たとき「これはやらないと仕方がないな」と感じました。
なぜならば須賀洋介シェフがアイアンシェフに就任した時のいきさつがあるからです。
 以前より交流のあった須賀シェフに一本のメールを打ちました。内容は、これからきっと悩み苦しむ事となるでしょうが、須賀シェフがこれから料理人として益々飛翔されるについて、必ずや糧となること間違いないので是非頑張って頂きたい言うものでした。もちろん、須賀シェフからの返信の温かい御礼メールが届きました。私は先代の鉄人シェフの皆様には、とても可愛がって頂いているのですが、皆さんの料理の素晴らしさはもちろんの事、メンタルの強さというか人間としての懐の深さには感服せずにはおれません。それは、だからこそ鉄人に選ばれたというよりも長い間、鉄人としての戦いの中で磨き上げられたものだと思うのです。全国から注目されつつ、何十戦も戦い八割ほどの勝率を誇ってきたのはまさに鉄人であります。血反吐を吐くような苦しみを乗り越えたからこその鉄人であります。そのような経緯の中、私のアイアンシェフ参戦回避は考えられませんでした。

スフレ作り
スフレ作り

 戦い終わって幸いにも勝利の女神が微笑んでくれました。素晴らしい料理人の須賀シェフを差し置いてまさに幸運と言うしかないのですが、あえて理由があるとすればいつもの仕事をしたからでしょう。気合いを入れていつもより一層凄いものを作ってやろうとしても、絶対にぼろがでるに決まっています。あくまでも今回の収録の九割は今まで25年間の菓子職人としての集大成。そして、一割のチャレンジであります。それと一貫して私が言い続けてきた、あくまでも自分との闘いです。格闘技ならば相手に勝つというのは、重要な要因になるでしょうが、あのキッチンスタジアムは違います。まず料理をしている最中に相手が何をしているのか見ている余裕はありません。何戦もしていれば相手の出方によって自分の料理も対応する事も可能かと思いますが、今の自分にはそんな余裕は全くありません。途中からは失礼な発言ですが、大応援もスタジオからの呼びかけも全く耳に入らず、与えられたテーマ食材を使って、自分の頭の中に描いた料理を時間内に完成する事のみに集中しました。そこに対戦相手の存在も勝敗も全くありません。とにかく自分の料理を完成させるのみです。ブザーが鳴りスフレが焼きあがった時は夢中で助手の方々と抱き合っていました。この後インタビューがあったのですが、私の中では前半戦終了のつもりでした。料理は作れば終わりではなくお客様が帰られるまでが勝負であります。

決戦終えて
決戦終えて

 今回、私の提案だったのですが料理を作るだけではなく、お客様(審議委員)に出すまでお客様の目の前でやらせて頂きたかった。すなわち私がいつもやっているカウンターデザート方式です。従来のやり方だと試合終了から試食の間までに時間が空き、本当に美味しいデザートが出せるのかという不安が強くありました。もちろんルールが厳しく確立されていて温めなおしやパスタや、麺類などの一部茹で直しも認められていますがそれなら一層の事、裏で助手(決められた助手の方のみで自店のスタッフは一切触れません)がルールにそってやるのではなく、お客様の目の前で自らやりたい。もちろん異例の事らしいですがルール作り自体、須賀シェフも交えて何度も打ち合わせをしました。ルール変更を快諾してくれた須賀シェフもさすがに大物であります。  今、一番したい事は須賀シェフとゆっくりと酒を酌み交わしたいです。  今回、応援頂いた方々、Toshiのスタッフの皆、テレビ局の皆さん、直前に出演され様々なアドバイスを下さった山田宏巳シェフ、そして須賀シェフ、みなさん、みなさんありがとうございました!

ナイスガイ須賀シェフ
ナイスガイ須賀シェフ