ありがとうございます

今年は3月に新卒8名と少し前に2名の10名が入社してくれました。新卒として今出健太、近江拓郎、西原由衣、前田直美、水野美香、福本将士、山崎龍二、屋比久勝之。そして少し先輩の長沼静、松田かなえの計10名であります。

皆とても素直で見どころのある若者達が集まってくれました。毎年、北は北海道から南は沖縄までたくさんの若者達が募集に集まってくれます。Toshi Yoroizukaでは面接で採用、不採用を決める事はありません。最低限度の礼儀とマナーを身に付けていてくれれば先ず一週間アルバイトとして来てもらってその間に何度も面談を重ね、そしてお互いに「この店で働きたい。」そして「この人に来て頂きたい。」とお互いの気持ちが一致した時に内定を出させて頂いています。こちらから一方的に試験するのでは無く先方にも試験して頂く事にしているのです。ですから一週間働いてみて「すみませんが違うと感じました。」というのも有りなのです。 最初に働く店というのは全てではもちろんありませんが職人としてその後の人生を大きく左右します。ですから外見や名前だけで決めてもらっては困るのであります。その反対にこちらからも「今回は御縁が無かったという事で。」と御断りさせて頂く事も多々あります。

では採用の条件は何かと言うと大きく分けて二つであります。一つは礼儀正しいかどうか。もう一つはToshiで働きたいという情熱をどれだけ持っているかと言う事です。この二点をしっかり持っている人物はお願いしてでも来て頂きます。たまに働きたいと言う電話に対応すると「雑誌やメディアで拝見して憧れております。」良く聞くと「お店にはお伺いした事も菓子を食べた事はありません。」という事がありますがこれは困ります。 「食べてもしあなたの好みの味では無かったらどうしますか?」と聞き返すと大抵返事はかえってきません。「尊敬する菓子職人ではありますが味の好みが自分とは違う」こういった事はあり得るのです。そんな店に入ってしまえば自分が不幸になるだけです。

では入社して先ず学んで頂く事は何かと言うと礼儀です。新入社員には何度も言い続けますが本当にこれは学んで欲しい。もちろん新入社員だけでなくスタッフ全員に。何故かと言うとToshiの為にも確かになりますがこの礼儀を身につける事によってその人は人生死ぬまで大きなアドバンテージを持つ事になるからです。ずっとToshiに居てくれるのは大歓迎ですが、仮に独立しても、他の店に移っても、そして異業種に転向したとしても礼儀正しい人間は何処にいても可愛いがられ重宝されます。ですから先ずこれを学んで欲しい。誰の為でも無く自分自身の為に。心配しなくても大丈夫です。二年や三年では結果は出ませんが礼儀正しく地道に努力を続ける人間には技術も運も自然と付いてきます。生意気な事を長々と書きましたがこれは新入社員やスタッフだけでなく私自信を叱咤激励している事でもあります。

新入社員の御家族の皆様、御子息のToshiでの毎日が薔薇色の日々と言う訳にはいかず時には苦しむ時もあるかとは存じます。自分の才能に疑問を感じたり、対人関係に悩んだりと壁にぶち当たる事がきっとあります。そんな時、皆様の御子息を信頼なされ温かく見守ってあげて下さい。Toshiスタッフ全てが応援しております。そして逃げずに立ち向かって乗り越える壁の向こうにこそ優しい心のこもった菓子を作れるパテシィエとしての資質が花開くのだと思います。