収穫〜発酵

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Dream of Ecuador

〜エクアドルの夢〜

初収穫編

003/006

Yoroizuka Farm

収穫〜発酵
エクアドルへの道のりはシカゴ、マイアミと2回のトランジット、29時間を経てグアヤキルへは23時に到着の予定であった。ところがマイアミ、グアヤキル間がトラブルの為、フライトが予定より7時間も遅れホテルに着いたのは朝の6時であった。
 
 
東京での仕事も忙しく時間の割けない私はエクアドルでの滞在も過密スケジュールとなっている。ホテルでは仮眠をとる間も無く軽くシャワーを浴びただけでホテルを後にした。冬の東京から厳冬のシカゴ、そして赤道直下のエクアドルとあまりの温度差に体が悲鳴を上げているがそれにかまう暇も無く現地アテンドの車に乗り込み最初に向かったのは小滝駐エクアドル大使が滞在しているホテルである。小滝大使は記念すべき初収穫の為にわざわざ首都キトから奥様、御嬢様と共においで下さったのである。 そして亡きドゥベール氏の志を引き継いだギーとも合流してYoroizuka Farmへと向かった。
 
 
街を抜け延々と続くバナナ畑の中を走る。見慣れた景色である。その角を曲がれば畑が見えて来るはずである。ところが角を曲がっても眼前に広がる広大な畑は見えてこない。山の中にポツンと異質な看板が立っている。何とそれこそが三年前に建てたYoroizuka Farmの看板。そこは三年前とは見違えるほど立派な農園に変貌しており、あちこちに黄色く大きくそしてたくましいCacaoの実をたわわに実らせていた。

小滝大使、ヴィタリアーノ氏、ギーと共に

この畑を実質運営、管理してくれているヴィタリアーノ氏をはじめ懐かしい顔が皆、揃っていた。
早速Cacaoの実を摘み取りこれを鉈で叩き割り中の豆をパルプ、現地ではババと呼ばれる白いヌメヌメとした果肉ごと収穫して中央にはしる繊維だけは取り除きどんどん箱に入れていった。

収穫

豊作

取り出し

夢中になって収穫を終えると三年前と同じ様にセレモニーが待っていた。
初収穫のセレモニーである。皆と共に同じ釜の飯を食い、酒を飲むのも三年ぶりである。頻繁には訪れる事の出来ない場所だからこそ、この場所で食べられる物、出会える人々を大切にしたい。

現地食材

カシューナッツ

初めて見るカシューナッツ

ヴィタリーノ氏の挨拶に続き小滝駐エクアドル大使から祝辞を頂いたのだがこれが驚いた。流暢なスペイン語でのスピーチである。エクアドル赴任が決まってから勉強されたそうだがまだ二年足らずの筈である。海外経験8年の私と比べるとそのレベルの違いに愕然とした。もっとも比べる時点で失礼にあたるであろう。
セレモニーを終え、次に訪れた場所では畑と同じように、いやむしろこの集積所ほど今回私を驚かせた場所は無かった。なんとYoroizuka Farm用の発酵、乾燥ハウスを分けて作ってくれていたのである。

発酵乾燥ハウス

まずはこの中で4日間バナナの葉っぱを被せて発酵させる。

発酵

それを3日間乾燥をさせる。

乾燥

そしてそれを袋詰めして日本へ空輸して頂く事となった。想像を遥かに超える扱いに益々地元の皆様への感謝の気持ちが強まった。
後はこの豆が無事、日本に到着する事を祈るしかなかった。

日本へ向かうカカオ

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